2006年10月25日

言葉

接戦になっているので盛り上がる日本シリーズ。
勝利監督インタビューに立ったヒルマン監督は丁寧に英語で答えている。
しかしヒアリングに関しては通訳を通している気配がない。
頭脳明晰でならす名指揮官である。4年目ともなればヒアリングだけでなく、日常会話はおそらく問題なく出来るものと推測できる。
それでも丁寧に英語で答える。

タフィ・ローズ(近鉄−巨人)がニュースステーションに出ているときに言っていたことである。日常会話を日本語で問題なくこなす(しかも関西弁で)ローズに、久米宏は日本語で話しましょうよとしつこく迫る。そのときのローズの回答はこうである。
「野球はビジネスなので。」
ビジネスなので正確にニュアンスを表現できる英語で話すのである。ネイティブでない言語を使って、問題おこっては困る。だから英語で語る。そしてこちらもビジネスにしている通訳に自分の言葉を託す。
言葉というものを重要視していると垣間みえるシーンである。

細かいことに思われるかもしれないが、単語でさえもあなどってはいけないのである。
「日本人は"ファスト・ボール"という言葉を"直球"と誤訳したっていうじゃないですか」(Number 662号)
日本のアマ野球がムービング・ファストボールに苦しむ様子を、一人の選手が言葉の問題として語っているのは興味深い。

サッカーの世界でもある。
「ボランチ」という言葉を「守備的」なMFに使いがちだが、この守備的とあわせることで、本来「ボランチ」にもとめられるMFとしての総合的要素が見えにくくなっているという指摘はよくある。
そうそう、加茂周は「ディープ・ミッドフィルダー」という言葉を好んで使っていたらしい。こうした言葉から、彼の目指すサッカーがわかった可能性はある。守備固めで崩れたあの日韓戦をみて言葉一つで指揮官の志向を読み取れた可能性もあると思うと、やはり言葉というものの大事さは痛感する。



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Posted by scrumhalf at 18:52│Comments(0)スポーツ全般


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