ラグビーにこそクラブチームを
チームスポーツの中で、不況や少子化による影響を最も受けているのが、ラグビーではないかとたまに思う時がある。何せ1チーム15人である。
これだけの人数を必要とするスポーツを、学校や企業などの枠組みの中で活動、維持していくのはかなり大変である。
だからこそ、ラグビーにこそクラブチームを。
それにはまず、協会から動いてもらわなければならないと思う。現行の学校単位、企業単位での参加しか認められない状況では、ますますプレーの機会が減ってしまう。現状では出場校が2桁にも満たない高校都道府県予選が数多く存在し、15人制から10人制の大会参加に変更せざるをえない高校もたくさんある。こうした現状では、学校単位以外のチームの参加を認めないと底辺層のプレー機会はどんどん減っていく。
釜石を特例として東日本のリーグへの参加が決まったが、個人的にはこれを契機にクラブチームのリーグ参加を認めても良かった気がする。廃部や休部となったチームの選手もプレーを与えられるし、教員をやりながらプレーを続ける梶原宏之のような選手も、トップレベルの大会に参加することができる。
出来るだけたくさんプレーできる機会を、出来るだけたくさんの人に、出来るだけ多様な形で提供することが今のラグビーには必要だと思う。
サッカーでは全国大会や各年代別代表を経験していないような選手が、代表やトップチームで活躍しているケースがかなり多い。広島の久保は典型的な例で、広島でさえテストを受けている。そういった選手がプレーを続けているなかで、経験や優秀な指導者との出会いによって上達する可能性がある。ラグビーの場合は、大学・社会人と進むにつれ、プレーをやめる傾向が強い。優秀な選手でも社会人に入れなければ、トップレベルの試合の経験を積むことができない。
もし社会人リーグという枠組みを維持するのであれば、日本選手権にクラブチームを参加させるのはどうであろうか。もちろんレベル的に今すぐは無理であろうから、数年後を目処にである。参加チームは社会人3、大学2、クラブ1というのが私案。シードは社会人、大学それぞれの優勝チームとする。この方式実現できればいくつか利点がある。
まず社会人大会がいまより重要度を増すと思う。シードを取るために、また無条件で出場資格を得るため、準決勝からの戦いが面白くなると思う。
さらに3位決定戦ができる。これによって花園、秩父宮の隔年開催が毎年どちらかの試合の開催ができるようになる。神戸製鋼vsトヨタの決勝になれば、秩父宮の予定であっても3位決定戦と入れ替えて花園でやってもよいだろう。秩父宮でこの2チームの決勝をやった時は、違和感を覚えたがこれもなくなる。
いずれにしても、大会の重要度が低くなっている社会人大会の活性化にもつながると思う。
実現に関してはかなり無理な試案であることは承知しているが、日本選手権の改正に限らずクラブチームに対して積極的なオープン化の案があってもいいと思っている。選手の登録条件に関しては以前に比べ、かなり緩和されてきている。テレビ出演の緩和によって、筋肉番付での大畑大介の優勝といった、ラグビー選手の優秀さを示すというようなケースも出てきている。これもオープン化によって得られたものだ。
この緩和をチーム登録に対して広げて欲しいのだ。高校はユースチームを含めた大会にして、同年齢での対外試合を増やし、低年齢での実戦の増加を考える。休部、廃部などによる選手に対しても、再びプレーをする場所を提供するためにも、クラブという選択肢を増やすのも得策だと思う。
伝統があるといって釜石だけを特例とするのではなく、これを機にクラブの大会参加を認めてほしい。
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